中国に進出した中小企業が撤退に当たって多くの問題を抱えているという報道が増えている。人件費の上昇、円安、日中の政治問題などが影響していると言われる。実際には、多くの中小企業が進出したは良いが利益を上げることができないままなのでしょう。

 厳しいようだが、人件費が安いからとか、進出を歓迎してくれるからとか言う理由で、中長期的な見通しで進出し、進退窮まったという中小企業が大半でしょう。

 先日、某金融機関の幹部と話していたら、苦笑しながら

 「少し前まで、進出セミナーやってくれとか、進出コンサルタントとして紹介してくれとか言って、結構派手にやってた人が、久々に会いたいというから話を聞いたら、今は撤退です。撤退セミナーやりましょう。困っている企業の経営者がいたら紹介してください。撤退コンサルタントをやります、なんて言ってきたから、さすがに丁重にお引き取り願った。」

 と言っていました。

 少し前にも「今や撤退セミナーやると満員ですよ」と別の金融機関の人も言っていました。
 
 一説には撤退には進出の10倍近いコストと労力がかかると言います。ということは、コンサルタント料もそれなりに・・・なんて、、、とらぬ狸の皮算用。

 私自身は、海外で仕事するのも好きだし、海外駐在や海外出張も好きだったので、海外進出することで企業経営にプラスならばやるべきだと思います。ただ、自分が駐在した経験から、やはり「自分は外国人として、外国で仕事をするのだ」という自覚を絶えず持っておかねばならないという点は重要だと思っています。外国人の自分が、外国で、稼いだものを、そう簡単には自国に持って帰れるはずはないのですよ。

 昨年末に行ったインドネシアでも、現地で頑張っている中小企業の経営者たちは口をそろえて「インドネシアは、もう安い賃金を求めて、安い物を作りに来るところではないです」、「急上昇している生産コスト、未整備のインフラ、強い労働組合。進出して初めて、そうした問題に直面し、撤退を余儀なくされる中小企業も少なくないです」と、状況の厳しさを話していました。

 1990年代から10年間くらいの海外進出ブームを知る人間としては、最近の「撤退」ブームは少し複雑な思いです。

 そういえば、「中国だ、中国だ」、「東莞に行かずして中小企業経営者は物を語るな」なんて中小企業の中国進出を煽っていた大学教授たちは、どこへ消えたのでしょうかねえ(笑)

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※独立記念塔 (モナス)ジャカルタ

 

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