2005年11月

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 うまく名前をつけるものだと膝を叩くことがあるが、これもそうだ。
        「Lower-Middle 市場」

 つまり、Lower-Middle Classという層が、これからの日本でのマーケティングに重要であると言う論旨で用いられるのである。

 このLower-Middle Classとは、要するに「中流層の下半分」と約せばいいだろうか。今まで日本人の大半が所属してきたと信じてきた「中流層」が二極分化しつつあり、一方の大きな流れがLower-Middle Classだとされている。

 様々な論者の説を統合すると、今までの日本の平均的なサラリーマンの目標は、40歳代後半から50歳代で年収一千万円台であった。一千万円台に達すれば、まあUPPER-Middle Class から、人によっては中流を脱したと感じたのだろう。

 確かに1980年代から1990年代の後半には、年収一千万円というのが多くのサラリーマンにとって、「将来、うまくしたら・・」と思えるラインだったことは、私の実体験からしても理解できる。
 
 では、中流層というのは、どの程度、収入があればそう感じるのかというと、人によっては差があるにしろだいたい年収400万から500万円程度らしい。

 さて、Lower-Middle Classというのは、正にこの400万円から500万円クラスを指すらしい。年収300万円で楽しく云々という本が話題を読んだが、300万円台は明らかにMiddle Classを滑り落ちた層を指すようだ。

 では、Lower-Middle Classは、どんなイメージかと言えば、まずバブル期に社会に出た層で、現在30歳代後半から40歳代半ばで、年収400万から500万円程度で給与上昇の天井にぶつかっているというもの。また、30歳代の未婚の女性(あるいは男性)も多くも、想定されている。

 年収400万円から500万円というと、仮に共稼ぎであれば、夫婦での年収は一千万円を超し、子供がいなければ余裕ある生活をすごせるはずである。

 ここで問題になるのは、仮にこうした年収で、今後、給与上昇が期待できないとすれば、結婚して育児のために、どちらかが退職する決断ができるかどうかということである。むしろ、そのままの状態で、多少なりとも余裕のある生活を楽しんで行きたいと考えたとしても、非難はできないだろう。

 この問題を追及していくと、大都市圏での少子化問題に行ってしまうので、少し軌道修正する。
 このLower-Middle Classそのものの善悪だとか、その原因は置いておいて、こうした層が増加していることは事実らしい。

 つまり、幼少期には高度成長期を経験し、さらに青春時代にはバブル景気を経験した層であり、消費には貪欲である。年収300万円層よりは、多少の余裕はある。こうした層をどのように市場として見るかというのが、どうも最近の企業活動の関心の中心になっているようだ。

 飲食関係で、個人的に興味を持ってきた二社がある。一つは、サンマルク、もう一つは、梅の花である。
 この二つの企業が展開するレストランは、いずれも雰囲気は非常によく、価格はリーズナブルである。興味深いのは、両者とも昼間の主婦の利用が多いと言う点である。「少し雰囲気がよく、でも値段はファミレスの少し上くらいで」という層をうまく取り込んでいる。
 
 この二社の方針は、Lower-Middle Classのマーケティングに大きなヒントを与えてくれているのではないだろうか。サンマルクの売りは、焼きたてのパンやピアノの生演奏である。しかし、それらは徹底した合理化と、アルバイトなどの大胆な起用で、低コストを可能とし、価格も安価に抑えられている。梅の花も同様である。
 したがって、残念ながら、高級店とは全く同じではない。しばらく観察すれば、サービスや料理などは「それなり」ということに気が付くだろう。ただ、ファーストフードのサービスレベルが向上し、「少し値段が高くても、あまり価値を感じない」という現在の状況の中で、「それなり」をここまで引き上げたことは賞賛に値するだろう。(本筋とは違うが、サンマルクは岡山市。梅の花は久留米市が本社であるというのも興味深い。必ずしも、首都圏や大都市圏でなければ、こうしたマーケティングができないという訳ではないのだ。)

 所得階層が、単純に二極分化するのではなく、中の下のような層が発生するとしたら、真の高級志向ではなく、若干、価格が高くとも、「それなり」のサービスや品質を要求するそうした市場が、「Lower-Middle 市場」だと考えられるのだろう。

 考えてみれば、スターバックスを筆頭とするコーヒーショップも、価格は少し高いが、洗練された雰囲気を提供するところに狙いを定めている。また、少しおしゃれだけれど、価格はそう高くないという雑貨店や、通信販売などが増えているのも、この「Lower-Middle 市場」の拡大を背景にしているのかもしれない。

 

 
 
 
 
 

 自動車産業が活況だ。来春の採用も盛んだし、工場の拡張も多い。
 
 しかし、その一方で、少し気になる話を聞いた。
 以前から、ハイブリッドの次は燃料電池、水素エンジンだといわれてきた。開発もかなり進み、実用化に向けての研究が進んでいる。

 このところの原油価格の高騰は、こうした研究開発のスピードを一層引き上げそうだ。

 ところで、これらの技術が実用化されると、大きな変化が起こる。それは部品点数の激減である。特に燃料電池車になると、根本的にエンジンが必要ではなくなる。そうなれば、今までの自動車産業の構造そのものを大きく変える可能性が大である。

 大手自動車メーカーでは、そうした可能性が近いと考えて、下請け企業に対して、燃料電池に関わる新しい技術の開発などを奨励しているという。

 鉄道車両などでも技術革新が進み、軽量化、すなわち部品点数の削減が進められてきた。自動車でも、部品点数の削減は、環境負荷を軽減するためにも求められている。さらに、水素を燃料としたシステムが実用化されれば、現在の自動車部品製造産業は、大きく変化せざるを得ないだろう。

 某自動車メーカーの重役は、「第二の産業革命です。わが社はメーカーですから、生き残る道はあるでしょうが、ガソリンエンジン向けの部品だけを作っている下請け企業は・・・困ったことになるかもしれません。」そう話していたそうだ。

 中小企業の経営者は、この先の新技術の動向も睨んで経営を考える必要があるだろう。

 上町台地からまちを考える会とコリアNGOセンターとの共同で、「ナンジャン(乱場)フェスタ〜生野コリアタウン・共生のまちづくり」という催しがあるよと、 弘本由香里氏(�大阪ガスエネルギー・文化研究所客員研究員)からお知らせがあってので、ご紹介です。

 上町台地からまちを考える会は、大阪の代表的な都心エリアである上町台地から「資源力」「コミュニティ力」「市民力」の3つの力の育成を図り、それらをゆるやかにネットワークしながらまちを再構築していく、「つながりのデザイン」による都心居住、都市再生を目的としたまちづくりNPO。一方、コリアNGOセンターは、上町台地界隈の地域拠点の一つであるコリアタウンを舞台にした活動をしているところ。この二つが、ネットワークを組んで、まちづくりについて考えようという催しのようです。

 大阪に住んでいたり、学んでいるのに、鶴橋の焼肉屋は知っているけど、コリアタウンは知らないという学生が多くて、びっくりしたことがあります。韓流ブームだ、やれ、嫌韓流だのと世間はやかましいですが、なにより、知らないということが問題じゃないのかなと思います。

 絵を描いたり、おいしいものを食べたり、音楽聴いたりと、そんなに難しいものではなさそうですし、一度、でかけてみてはどうでしょうか。まず、知って、それからもう一回、考えてみるのも大切だと思います。

■ ナンジャン(乱場)フェスタ〜生野コリアタウン・共生のまちづくり

 

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 イオン宮崎ショッピングセンターに行った。
 現在、九州最大の大型ショッピングセンターだ。

 このSCの進出に関して、宮崎では反対運動もあり大変な問題になってきた。

 実際にSCに行くと、その巨大さが理解できる。「JUSCO、160の専門店、シネマ、アミューズメント からなるエンタテイメントシティ」というだけのことはあり、一つの街になっている。店舗だけではなく、金融機関や医療機関、市役所の出先、文化ホールなど、「街」に必要なものは住居以外すべて揃っている。

 この影響をどのように考えるか。

 今年、世田谷区で商店街組合(商店会)に加入促進する条例ができ、さらに福島県では、事実上、大型店出店規制強化の条例が採択された。

 これらに関しては、法律違反だという意見や、いまさらという意見もあり、これからどのように判断されるかが注目される。

 しかし、私も「いまさら」派である。20年、遅かったと思う。どうしてこんなことになったかというと、要は、街づくりに関するグランド・ビジョンというか、どういう街にするかという議論がなされてこなかったことが、つぎはぎだらけの計画や規制や条例を作り出してきた。今回の規制も、結局、中心市街地があまりにも廃れた、だから・・・という程度にしか思えないのだ。 
 いずれにしても、規制をいくら強化しても、できてしまったものは、なくならない。

 宮崎の中心市街地からバスで20分ほどのところに、これだけのSCがすでに存在しているのである。それは、否定しようのない事実である。SCの周辺には、すでにその集客力を期待して、「コバンザメ」商法的に、家電製品の大型店をはじめ、ファミリーレストランから、個人経営のレストランや喫茶店などが開店しており、建設途中のものもいくつか見られた。いわば新しい商業集積地が、いま、まさに生まれようとしているのだ。

 一方、中心市街地は、相変わらず苦戦している。

 しかし、1年前に訪れた時と少し変わった点がある。

 地元の老舗百貨店である山形屋が増床工事を行っている。イオンは、比較的若い層をターゲットにし、低価格路線で行っているために、中高年層はターゲットにすれば取り込めるという考えが出てきたようだ。

 商店街は、苦戦しているとはいうものの、今回、気が付いたいのは若者の新規開業が結構、目に付くことだ。確かに、そんなに儲かっているようには見えないが、若者らしい店作りを古い店舗を借りて、挑戦しているのが目をひいた。

 確かにイオンのSCは、地元商業界に激震を与えている。今も、その影響は大きい。しかし、その中で、いかに棲み分けるのか、そういう時期にすでに入っている。

 宮崎市内を歩いていて、おもしろいことに気が付いた。イオンの宮崎SCは、中心市街地からは少し離れている。宮崎駅前には、24時間営業のマックスバリューがあり、さらに、中心市街地にあるボンベルタ橘という元々は地元資本の百貨店も、現在はイオングループの一つである。
 つまり、イオンは、郊外に巨大なSCを建設しつつも、中心市街地に百貨店を一つ、駅前に食品スーパーを一つ維持しているのである。

 いつも思うことなのだが、巨大資本=悪 VS 地元の中小業者(国際関係で言うと現地の人々)=善 という対立構造で解説すると、これはこれで非常に分かりやすく、受け入れやすい。『水戸黄門』を代表とするテレビドラマと一緒で、1時間程度のお話で解説するのに、ちょうど良いストリーなわけだ。

 しかし、現実の社会は、そう単純ではない。そもそも宮崎の商業集積地の衰退は、イオンの進出で始まった訳ではない。これは地域経済の衰退そのものの反映であり、たとえば最近の宮崎県の有効求人倍率は約0.6で推移している。求職者1人に0.6の仕事しかない。もう少し分かりやすく言えば、5人につき3人分の求職しかないのだ。

 そこで、イオンに対決姿勢を見せる地元商業界に対して、「イオンがSCを解説してくれるおかげで、県外からの進出があり、求人増加が得られるではないか」という反論も出るわけだ。

 ただ、もともと低迷している経済状況の中に、巨大なSCが来て、その消費をかっさらう訳だから、地元の商業界への影響は避けられないというのも、また事実である。「今まで、博多や熊本に流出していた消費が、少しでも止まるなら、良いでは無いか」という意見もあるものの、やはりいきなり大型スーパーと160店舗ものいわば商店街が一つできてしまうというのは、影響は大きい。

 今回、中心市街地の商店街、老舗百貨店の山形屋、イオン系列のボンベルタ橘、倒産した寿屋百貨店の後であるカリーノ宮崎のすべてを歩いてきた。

 中心市街地の個人商店では、イオン開業後、売り上げが大きく落ち込んだとするところも少なくないようだ。確かに、イオンのテナントと競合する20歳代から30歳代向けでは、その落ち込みは激しいかもしれない。
 しかし、一方で中高年以上では、結局、市内中心商店街に買い物に行くという意見を聞くことが多かった。30歳代から40歳代の特に女性たちにとっては、「イオンの開業で、博多や熊本に買い物に行かなくても済むくらいの商品が手に入るかと思ったが、結局、若い人向けが中心だった」というのが正直な意見で、むしろ山形屋の増床に期待する意見も聞かれた。

 こうした状況を見て、地元でも提案したのだが、市内中心部からイオンSCへ無料のシャトルバスを運行してはどうかと思うのだ。もちろん、こうしたことを言うと、「今以上に市内中心部からイオンに客を運んで、一層、衰退をさせるつもりか」と怒る人がいるだろう。しかし、それこそ、そんなに単純な問題だろうか。

 イオンSCを見ると、確かになんでもるように見えるが、30歳代から40歳代の女性たちの意見のように、地元の老舗商店のものや高額商品の品揃えが薄い。それはターゲットにする層が違うからだろう。
 山形屋が増床に踏み切ったのも、恐らくその点に自信を持ったからではないか。つまり、消費者がイオンSCに期待することと、中心市街地の商業施設に期待することは違うはずなのである。

 であれば、むしろ中心市街地の商業者は、イオンを目の仇にするのではなく、彼らの集客力を利用することを考えてはどうだろう。
 市内中心街に複数のバス停を置き、宮交バスターミナルから、宮崎駅を経由して、イオンSCまでの循環無料シャトルバスを運行する。

 「中心市街地のお客が、一層、イオンに流れる」と懸念するかもしれないが、私はそう思わない。すでに流れるべきお客は、流れている。これ以上、イオン側には流れない。むしろ、イオン側から中心市街地にお客が流れる可能性の方が高いと思う。

 二世代同居の家族を想定してみよう。仮に、日曜や土曜日、家族で買い物に出かけるとする。中心市街地に車で出かけると、駐車料金を心配しなくてはならない。しかし、イオンSCなら広大な駐車場があり、無料だ。まずは、イオンSCに家族で行き、車を駐車し、父親あるいは祖父と子供はフードコートや、ゲームセンターや、書店で時間を潰すだろう。母親と祖母は、無料のバスで市内中心部の山形屋やあるいは老舗の商店に買い物にでかける。一、二時間すると、母親と祖母はイオンに戻り、夕食の買い物をして、帰宅する。
 そうしたパターンを想定できないだろうか。

 これまた怒る人がいるかもしれないが、出来てしまったものは仕方ない。むしろ、どう共存していくのかを発想を転換して考えるべきだろう。もちろん、イオンSCと共存するためには、わざわざバスに乗って、中心市街地に足を運ばせるだけの何かが無いといけないだろう。単純にイオンSCと競合、すなわち価格で競争するだけでは、勝てるわけがない。どう、差別化、区別化するか、それこそ個人商店主の腕の見せ所ではないだろうか。
 
 そうした視点から見ると、ここ一年くらいで増えている若い商店主の店がどれくらい頑張っていけるか、研究者としてはとても興味深い。

[E:book]宮崎の街を歩いていて、割りといい感じだなと思っているのは、中心街の山形屋の裏辺りの橘通り。ほんの一角だけですけど、いい感じです。喫茶店とかレストランとか、ほっとできる雰囲気です。ここから宮崎駅に向かう商店街は、数年前は、「これでホントに商店街か」と思うほどでしたが、今回、そんなに言うほどの数ではないですが、若い人たちが開業していて、雰囲気がほんの少し明るくなったかなと。
 お勧めは・・・・

[E:bread]喫茶 セブンスリー 宮崎県宮崎市広島1丁目16-7  電話 0985-26-0541 ・・・ 宮崎駅に向かう通り。骨董品店の隣なんですが、少し奥まっているところに建つ洋館。喫茶店らしい喫茶店です。

[E:restaurant]パパのカレー屋さん 宮崎市橘通東3-4-29 電話 0985-28-1067・・・「猫のあしあと通り」にあるお店(笑) こういうのいい。山形屋の裏です。カレーを頼むと、まず牛乳が出てきます。もちろん、カレーもおいしいです。

[E:note]LIFE TIME ・・・ 宮崎の代表的ジャズ喫茶。はまりました・・・
 

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 11月1日、山形県長井市から『影法師』のみなさんが、日本福祉大学を訪ねてくださいました。講義科目のゲスト講師として、日本の農業に関して、また農産物の栽培や販売などの新しい動きに関して、実際に「百姓」として働いていらっしゃる方から話を聞こうというのが目的です。
 しかし、せっかくお越しいただくのに、限られた受講生だけにというのは、もったないない! 

 そこで、昼休みの時間、普段は学内の学生サークルなどが演奏している場所を借りて、ミニコンサートを開催することに。

 「先生、観客集まらなかったら、どうしましょうねえ」というゼミ生の心配をよそに、演奏が始まると、沢山の学生が足を止め、『影法師』のフォークソングや、軽妙なトークに足を止めました。
 現在の農業従事者が置かれている状況や、政治に対する批判などを笑いに交えて歌うのに、最初は少なかった観客も最後には、かなりの数になり、拍手も大きくなっていきました。

 学生たちからは、「普段と違って、フォークというのも新鮮でいいなあ。」とか、「メッセージ性があって、よかったし、楽しかった」などという声が聞かれました。

Cdan_n6b教室が「ライブハウス」化。いやー贅沢な授業になりました。


 その後、講義科目でも、教室でライブハウス化。農業、そしてそこで働く人達の生活や問題、楽しさなどを、軽妙な語り口で話し、そして歌っていただきました。

 学生たちにとっては、ちょうどお父さんの世代。ぽろっぽろっとでる「お父さんの苦労」のようなものに、自分の父親の姿を重ね、感慨深かった学生もいるようです。

 今回の趣旨は、なかなか真剣に考えることも、想像もすることもない「農業」について、一度、実際に働き、またいろいろな新しい工夫をされている方にお話を聞いてみようということでした。

 単なるお話ではなく、音楽に託して伝えていただき、新しい感動が学生たちにもあったようです。
 
 「影法師」のみなさんは、軽自動車で、次のコンサート先の姫路に旅立っていかれました。

 私の研究室では、遅くまで学生たちが残って、今日の感想などで盛り上がりました。


[E:school]大学での様子は、こちらにも⇒ 影法師30周年記念行脚/2005.11.01
[E:pc]影法師公式ホームページ

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